検疫とは?

検疫とは?

検疫の意味

-検疫の意味-

検疫とは、感染症の拡大を防ぐために、人の移動や物品の輸送を制限または隔離する措置のことです。目的は、感染源の特定、感染蔓延の防止、公衆衛生の維持です。

検疫は、感染した個人や疑わしい感染者、感染の疑いのある物品や動物の移動を制御します。隔離施設や検査所などの手段を用いて、感染の拡散を防ぎ、未感染の人々を保護します。

検疫は、過去数世紀にわたって行われてきました。初期の検疫は主に船舶による感染症の侵入を防ぐことに焦点を当てていましたが、現在は、航空機、国境、さらには地域内での移動にも適用されています。

検疫で行われること

検疫で行われることは、感染症の侵入と蔓延を防ぐための重要な措置です。検疫では、対象となる人物や物品に対して以下の手順が実施されます。

* -健康状態の確認- 体温測定や問診など、健康状態を確認します。
* -感染症の検査- 必要に応じて、感染症の有無を調べる検査が実施されます。
* -予防接種の確認- 該当する予防接種が接種されていることの確認を行います。
* -隔離- 感染の疑いがある場合や、感染が確認された場合は、隔離されます。
* -消毒- 感染の痕跡がある可能性のある物品や場所は、徹底的に消毒されます。
* -動静確認- 隔離された人物の動向を定期的に確認し、感染の拡散を防ぎます。
* -経過観察- 隔離期間中、健康状態を注意深く経過観察します。

検疫の対象となる病気

検疫の対象となる病気には、国際的に伝染しやすく、深刻な影響を及ぼす可能性のあるものが含まれます。これらの病気は、国際保健規則によって特定されており、次のようなものがあります。

* コレラ
* ジフテリア
* 麻しん
* ポリオ
* 黄熱病
* SARS（重症急性呼吸器症候群）
* MERS（中東呼吸器症候群）
* COVID-19（新型コロナウイルス感染症）

検疫では、これらの病気による感染拡大を防ぐために、感染疑いのある人の監視と検査が行われます。

検疫の実施機関

検疫の実施機関

検疫は、厚生労働省傘下の検疫所が行っています。検疫所は、国際空港や港湾、主要な国境検問所に設置されており、海外からの入国者や貨物の検疫業務を担っています。検疫所の職員は、医師、看護師、検査技師など、検疫業務に必要な知識と技術を有する専門家です。検疫所が実施する検疫には、入国者に対する検疫（検疫検査）と、貨物に対する検疫（貨物検疫）の2種類があります。

検疫の歴史

-検疫の歴史-

検疫の歴史は古く、古代から感染症の蔓延を防ぐために、さまざまな対策が行われてきました。紀元前5世紀の古代ギリシャでは、「隔離」という言葉が、疫病に感染した船の乗組員や船舶を一定期間隔離することを意味していました。

中世ヨーロッパでは、黒死病の大流行を受け、隔離所が設置され、感染した人が隔離され、治療が受けられるようになりました。14世紀には、ベネチア共和国が検疫制度を確立し、船舶や乗客が特定の期間隔離され、感染の有無が確認されました。

近代になり、19世紀にはコレラや黄熱病などの感染症が世界的に流行したことを受け、国際的な検疫制度が整備されました。1892年の国際衛生会議で国際検疫条例が制定され、国境における検疫の基準が統一されました。

20世紀には、航空機の登場により、感染症の国際的な拡大がさらに容易になりました。このため、1944年に国際民間航空機関（ICAO）が設立され、航空機の検疫に関する規程が定められました。

現代では、検疫は感染症の蔓延を防ぐための重要な手段であり、世界各地の空港や港湾で行われています。検疫制度は、国によって異なりますが、通常は検疫官による健康状態の確認や、予防接種証明書の提示、感染症の症状がある人の隔離などが含まれます。